残念ながら、先日入手した Unicore UM980 は L6 / MADOCA PPP に非対応でした。 スペックシートにはどちらも対応が明記されているものの、公式からメールにて非対応との回答がありました。
遅ればせながら Unicore UM980 を購入 ─ QZSS L6 / MADOCA PPP 対応を調査
メールでは、代わりに UM980C を推奨されました。 こちらは公式に CLAS PPP-RTK 対応が明記されています。 MADOCA PPP についても明記されていますが UM980 と全く同じ表記なので、確認が必要かもしれません。
- Supports QZSS L6D (CLAS) PPP-RTK solution
- Supports B2b-PPP, E6-HAS and QZSS L6E (MADOCA) PPP
試したいのですが、今のところボードに実装された状態で販売されているものが見当たりません。 やはり自分で基板を起こせるようになるべきだろうか…。
下表に、2026年5月現在で入手可能なコンシューマーグレードの L6 対応受信機をまとめました。
コンシューマーグレード L6 対応受信機
| Manufacturer | Model | Band (Spec) | Raw | Correction | Verified | Notes |
|---|---|---|---|---|---|---|
| u-blox | NEO-D9C | L6 1 | A | A 2 | ✓ | ZED-F9P 等との組み合わせにて利用 |
| ZED-X20P | L1, L2, L5, L6 | N/A | N/A | ✓ | 2026-05-27 現在 3 | |
| Septentrio | mosaic-CLAS | L1, L2, L6 | A | A | ✓ | ワンチップで CLAS/MADOCA 対応 |
| mosaic-G5 P3 | L1, L2, L5, L6 | A | N/A | ✓ | Raw データのみ 4 | |
| mosaic-G5 P6 | L1, L2, L5, L6 | A | N/A | - | Raw データのみ? | |
| mosaic-G5 P8 | L1, L2, L5, L6 | A | N/A | - | Raw データのみ? | |
| Unicore | UM980 | L1, L2, L5, L6 | N/A | N/A | ✓ | スペックシートには L6 / MADOCA 対応が明記されているが、公式より非対応との回答あり 5 |
| UM980C | L1, L2, L5, L6 | A | A | - | 上記問い合わせにて、代わりに UM980C を推奨される 5 mosaic-CLAS 以外で私が知る限り初のネイティブ対応 | |
| Allystar | TAU1302/TAU1303 | L1, L6 6 | A | N/A | ✓ | 2019年発売と QZSS サービス開始初期から存在するが、現在はディスコン? |
| Quectel | LG290P | L1, L2, L5 | N/A? | N/A? | - | 対応周波数には L6 の記載がないものの、“Product Features” の “PPP QZSS L6” にチェックが入っている 7 |
| LG580P | L1, L2, L5, L6 | A? | A? | - | “LG580P (03) supports multi-band signals L1, L2, L5, L6” との記載にとどまり、補強情報利用可否は不明 | |
| LG680P | L1, L2, L5, L6 | A | A? | - | PPP-RTK は非対応? 8 PPP については記載あり | |
| bynav | M20/M21/M22 | L1, L2, L5, L6 9 | A | A? | - | |
| DATAGNSS | QZS-6C | L1, L6 | A | A | ✓ | 同社の MA10P/D10P と組み合わせて CLAS/MADOCA 対応可能 10 |
u-blox の ZED-X20P は今のところ L6 受信ができないようです。 将来的に FW アップデートで対応することを期待しています。
mosaic-G5 P6, P8 は共に今月発表された最新モジュールで、スペックシート上は L6 対応となっています。 おそらく mosaic-G5 P3 と同様の Raw データ出力の対応と考えられます。
Allystar は HP のメンテナンス状態が悪く、トップページに紹介されている製品をクリックすると 502 エラーでアクセスできない状態になっています。 News を見ると今年の記事があったりするので、企業活動自体は続いているようですが。
TAU1302/TAU1303 以前はボード実装されたものが入手可能でしたが、見かけなくなってしまいました。 NEO-D9C は ZED-F9P と組み合わせて使うことで CLAS 補正に対応できますが、TAU1302/TAU1303 は単体で L6 Raw データ出力のみなので、製品として存続するのが難しかったのかもしれません。 まだ入手可能であれば、MRTKLIB と組み合わせて L6 対応受信機として活用したいところです。
Quectel LG680P (03) はスペックシート上は少なくとも MADOCA PPP 対応はしていそうです。 AliExpress でボード実装されたものが2万円台前半で手に入るので、フルバンド受信機にしてはかなり安価で魅力的な選択肢です。 ただし、少なくとも CLAS については言及がなく、MADOCA についても “PPP 対応” という書き方で言及されており、実態はよくわかりません。
It also supports Galileo E6, QZSS L6, BDS B2b, and L-Band* frequencies for PPP technology.
また対応可能性のある受信機が増えてきたら更新します。
2026-05-27 追記
X にて早速、情報提供いただきました。ありがとうございます。
LG290P については、対応周波数に L6 の記載がなかったため列挙していませんでしたが、よくよくスペックシートを見てみると “PPP QZSS L6” にチェックが入っていることに気がつきました。 これはおそらくですが、Ranging はできないが、補強情報は受信できる、という意味でこのような書き分けになっているのだと推測します。 一方で、LG580P については対応周波数に L6 を明記しているものの、補強情報に関する記述は見られず、実際に Raw データや補強情報が利用できるのかは不明です。
忘れていたのが bynav の M20/M21/M22 です。 こちらもスペックシート上では対応周波数に L6 の記載があります。 しかしながら、”* Optional or check the collection for details” との注釈があり、実際に L6 に対応しているのかは不明です。
Hemisphere の Phantom™ 40 GNSS OEM Board や Phantom™ 20 & 34 GNSS OEM Boards も、スペックシート上では L6 対応となっています。
しかしながら、信号名が “L6” ではなく “LEX” となっており、これを文字どおり受け取るのであれば、現在は受信できない可能性があります。
上記リストには記載しなかったのは、この “LEX” が引っかかったのと、Hemisphere の製品がコンシューマグレードか判断がつかなかったためです。
Alibaba でクローンボードと見られるものが2万円台中盤で売られていますが、実際のところよくわかっていません。
もう少し調べました(下掲)。
同社の Vega™ 34 GNSS Compass Board や Vega™ 28 GNSS Compass Board も、スペックシート上では L6 対応となっています(@hal1278 さんより情報提供いただきました、ありがとうございます)。 さらにこちらは信号名も “L6” となっているため、L6 に対応している可能性が高いと思われます。 なお、製品グレードについて再度調査してみたところ、正規流通が見積もりベースの Professional OEM であり、個人が定価で購入できる製品ではないため、コンシューマーグレードではないと判断できそうです。
もう一つ、上記リストに記載しなかったものとして STMicroelectronics の Teseo L があります。 Teseo L は NEO-D9C と同様に受信機は補強情報のみを受信する仕組みとなっているようで、資料11によると同社の Teseo V と組み合わせて RTK/PPP 測位に対応するようです。 Teseo V は主に車載用途で使われており、他の受信機のように個人が入手することは困難であるため、上記リストからは外しました。
2026-05-27 追記 その2
X にてさらに情報提供いただきました。ありがとうございます。
DATAGNSS の QZS-6C は、同社の MA10P/D10P と組み合わせることで CLAS/MADOCA 対応が可能です。 同社 HP にて、受信機およびアンテナ一体型として販売されています。 MADOCA 対応の MA-10P-00 が1.4万円、CLAS 対応の MA-10P-CLAS-00 が1.9万円と、CLAS/MADOCA 対応受信機としてはかなり安価で魅力的な選択肢です。
リストが充実してきたので、時間のある時に発売時期や価格、販売状況も含めてまとめられると良いなと思っています。
リファレンス
- u-blox:
- Septentrio:
- mosaic-CLAS: https://www.septentrio.com/ja/products/gnss-receivers/gnss-receiver-modules/mosaic-clas
- mosaic-G5 P3: https://www.septentrio.com/ja/products/gnss-receivers/gnss-receiver-modules/mosaic-G5-P3
- mosaic-G5 P6: https://www.septentrio.com/ja/products/gnss-receivers/gnss-receiver-modules/mosaic-G5-P6
- mosaic-G5 P8: モジュール単体の情報は見当たらず、評価キットのみ
- Unicore:
- Allystar:
- TAU1302/TAU1303: 公式ページは 502 エラーでアクセス不可
- Quectel:
- LG290P (03): https://www.quectel.com/product/gnss-lg290p/
- LG580P (03): https://www.quectel.com/product/gnss-lg580p-03/
- LG680P (03): https://www.quectel.com/product/lg680p-multi-band-gnss-module/
- bynav:
- DATAGNSS:
Footnotes
-
L2C はトラッキングに利用、データ出力は L6 のみ。 ↩
-
UBX-RXM-QZSSL6メッセージで u-blox 製モジュールの補正に対応。 ↩ -
Option A: L1 & L5; Option B: L1 & L2; Option C: L1 & L6; の3パターンがある。 ↩
-
“It also supports Galileo E6, QZSS L6, BDS B2b, and L-Band* frequencies for PPP technology.” との記載あり。 ↩
-
L6 については ”* Optional or check the collection for details” との注釈あり。 ↩
-
“MA-10P/ D10P supports MADOCA/CLAS service with specific firmware too.” X にて @rinex20 さんより情報提供いただきました。ありがとうございます。 ↩
-
ST GNSS solution STのGNSSソリューション, For 4th EU-Japan GNSS Roundtable Meeting, March 14th, 2019 ↩